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リコリスの旅74話【第三章】 嵐の邂逅
今回は鬼畜描写は少ないです。
前回からのあらすじ。
リフテンを出発したリコリス。
愛馬と共にウィンドヘルムへと向かっていたが、山賊の待ち伏せを受ける。
余裕とたかをくくり、数人を蹴散らすも隠れた山賊の闇討ちによって肩に矢を受け落馬。
愛馬も驚いて逃亡し、山賊に捕まってしまう。
~山賊の砦~
ペイル地方とイーストマーチ地方の中間あたりにある山賊が占拠する砦。
その最上階、山賊の頭のための部屋には山賊の頭への「献上品」が多く置かれている。
武器や鎧、金に……牢屋の中で動く影。
リコリス「いてて……、乱暴に入れやがって……。」
道で山賊に捕まり、この砦に連れてこられてから3時間ほど。
押し込められたこの牢屋で体力の回復を計っていた。
連れてこられてから3時間、今のところは無事だ。
どうやらここの主は留守らしく、こうして体力の回復ができている。
リコリス(この傷の癒え具合……近くにストームブリンガーがあるな。これはツイてるかもしれねぇ。)
ストームブリンガーの加護というべきかリコリスは常人の回復速度ではない。それはストームブリンガーがそばにあればなおさらの事。
肩の矢傷もすでに癒え、蹴られた四肢の痛みもすでに無視できるほどだ。
リコリス(次は油断しねぇぞ、吠え面かかせてやる。)
脱出にしてももう少し回復しねぇと……、と静かに回復を待つ。
・
・
・
階段を登る音がする。
小さく舌打、もうきやがったか。
数人で馬鹿笑いを部屋に入ってきたのは基本的に偉そうな山賊の中でも一際偉そうな男。
話はすでに聞いていたのか、こちらの姿を認めるとニヤニヤと近づいてくる。
山賊頭「へっへっへ、てめぇが捕まったって不運な女戦士ってかい?まだ若ぇじゃねぇか。残念だったな。」
牢屋の鍵を開け中に入ってくる。後ろには二人同じような下卑た笑みを浮かべながら待機している。
リコリス「それであんたが頭の悪そうな頭ってか?女一人に寄ってたかってみっともねぇ頭と部下だぜ。」
また馬鹿笑いを響かせる山賊頭。
山賊頭「こいつぁ威勢がいいねぇ、そういう女が俺は大好きなんだよ。」
ふと力を感じ、自然と目に力がこもる。
リコリス「あんた、黒い剣も一緒に部下が持ってきただろ?悪いことはいわねぇ、あれ今すぐ捨てたほうがいいぜ。」
山賊頭は聞く耳持たず、こちらの体を舐めるように見ている。
リコリス「これはアンタへの助言だぜ。ありゃ魔剣だぜ。死にたくなけりゃ言う通りにしたほうがいい。」
山賊頭「はっ!何のことかわからねぇが減らず口を聞くためにお前を連れて来たんじゃねぇんだよ!楽しませてもらうぜ。」
そう言って更に近づいてくる。
リコリス「忠告はしてやったぜ。」リコリスの青い瞳が一瞬輝いたように見える。
リコリス「来い!ストームブリンガー!」
そう部屋に響き渡る声をあげる。
あっけにとられ、今にも笑い出しそうな山賊頭は次の瞬間、意識が一瞬で暗転した。
でたらめな起動を描いて意思ある魔剣がリコリスの呼び声に答えて飛来する。牢屋に入って入り口を塞いでいた山賊頭はその衝撃で吹っ飛ばされ絶命する。
そのままストームブリンガーはリコリスの頭を突き刺すように飛来するが、リコリスも体を逸らしそれを回避する。
壁に突き刺さるストームブリンガー。
リコリス「バーカ!だから言ったんだ。ざまぁみろってんだ!」
御付の山賊が慌てて武器を抜く。
山賊A「こ、この野郎!何しやがった!」
山賊B「てめぇゆるさねぇぞ!」
リコリス「や、やべっ!まだ手うごかねぇ!」詰めの甘さに慌てる。
口々に罵倒しながら武器を手に牢屋に入ってくる山賊、しかしさっきのストームブリンガーを見たのか、どこかへっぴり腰だ。
慌てて手を拘束されながらも立ち上がって回避に移れるように身構える。
その時―――
山賊C「て、敵襲だ!ストームクロークの鎮圧部隊だ!バケモノみてぇな強ぇやつが二人も!も、もうここまdギャアア!」
何人もの山賊が部屋に逃げ込んでくる。
それを追いかけるように青い衣に身を包んだ集団と、獣の毛皮から作られた立派な鎧を身に着けた二人が雪崩れ込んでくる。
外からは戦場の喚声が聞こえてくる。外は大混乱のようだ。
・
・
・
・
・
・
部屋の奥、つまり牢屋の前で固まる山賊たちとその集団―反乱軍、ストームクロークの部隊は対峙しにらみ合いになる。
大きな体の多いノルドの中でも一際大きな体のノルドがどこから声が出てるのか、牢屋が揺れそうなほどの大喝をあげる。
大柄のノルド「山賊ども!ここが年貢の納め時だ!観念しな!」
その横に静かに立つのは銀の髪と銀の剣が印象的な怜悧な美人。
こちらは大柄のノルドと違って溜息一つ、息すらもしてないのではないかと言うほど静か。
静かだがその殺気は冷たい氷の刃を辺りに突き刺してるような恐ろしさを感じる。
山賊B「くっくそ!いくら強かろうが関係ねぇ!てめぇら!あのでかぶつを数人がかりで殴れ!」
大柄のノルドが獰猛に笑う。
大柄のノルド「その程度の人数でか?」
振りかぶられた戦鎚が山賊を襲う暴風となる。
断末魔も骨の軋む音も砕ける音も全部飲み込んで、その戦鎚はなんと大の大人4人まとめて一撃で吹き飛ばす。
ば、ばけものだ!な、なんだこいつは!こ、こいつは……こいつはクルトだ……砦崩しのクルトだ!
口々に山賊は恐慌状態になる。
クルトと呼ばれた男はノルドらしい獰猛な笑みを浮かべる。
クルト「全員雄雄しく戦うか!いいだろう、ソヴンガルデに送ってやる!」
その声を皮切りにストームクロークの兵と山賊が真正面からぶつかり合う。
怒号と悲鳴、断末魔が飛び交う。
えらいことになったな、と牢屋から眺めていると恐怖で顔の張り付いた山賊が二人牢屋に入ってくる。
リコリス「え、ちょ!や、やめろって痛い痛い!」
山賊「動くな!」
その声にストームクロークの兵の動きが止まる。
山賊はもう牢屋に入ってきた二人のみ。
その2人は後ろ手に拘束されたリコリスを引き摺っている。
山賊「こ、こいつがどうなってもいいのか!へ、兵を下がらせろ!」
クルト「俺たちが人質を気にするとでも?」
山賊「い、いいから下がれ!てめぇら!本気だぞ!」
クルト「ちっ、最後にソヴンガルデ行きを捨てやがったか。」
さっきとは打って変って静かに兵を下がらせ、自分と静かな女性のみになる。
クルトは隣の女性に静かに目配せする。
小さく頷く女性。
一歩前に踏み出す。
山賊「く、くるな!人質がいるんだぞ!」
そこで初めて女性が口を開く。
女性「……私に人質は通用せぬ。」怜悧で冷たい声。
恐慌にかられた山賊は武器を抜きこちらに振りかぶるため、一瞬だけ女性から目を離す。
銀の女性の目が煌くようにその一瞬を捉える。
銀の剣の輝いた閃きのみが軌道を残す。
次の瞬間にはリコリスを拘束していた二人の山賊の首は胴から断たれていた。
クルト「さすが白銀狼だな。目にも留まらぬってやつか。」
白銀狼と呼ばれたその女性は、呆れたかのように溜息をつく。
ソニア「ソニアだ、嫌いではないが。」
名前はこちらに向けて言ったようにも聞こえる。
ソニアと名乗った女とクルトと呼ばれた男がこちらに近づいてくる。
クルト「あぶねぇところだったな。どこのもんだ?」
そう言って毛皮のマントをかけてくれる。この男、見た目のわりに意外と優しいかもしれない。
ソニアは一瞥し怪我がない……ほとんどストームブリンガーのおかげか、無事なのを確認した後、兵士を呼びにその場を一度後にする。
やがてストームクロークの兵士と共に戻ってきて、現場の調査に乗り出す。
その時奪われた装備も見つかったようだ。
リコリス(ひ、ひとまず助かったか……。)足の力が抜け、へなへなとその場に倒れこみそうになるリコリスでした。
・
・
・
ソニア(あの娘の持っている黒い剣……もしや報告にあったあの……。)
~あとがき~
今回はTwitterやTumblrでお世話になっている「義弘」さんの自作フォロワーのお二人に登場していただきました。
無骨ながら豪快なクルトさんと、怜悧な美貌のソニアさんです。
二人ともストームクロークの将校で、今回山賊の砦潰しでたまたま遭遇し、救出していただきました。
次回も出演していただく予定です。よろしくお願いします。
前回からのあらすじ。
リフテンを出発したリコリス。
愛馬と共にウィンドヘルムへと向かっていたが、山賊の待ち伏せを受ける。
余裕とたかをくくり、数人を蹴散らすも隠れた山賊の闇討ちによって肩に矢を受け落馬。
愛馬も驚いて逃亡し、山賊に捕まってしまう。
~山賊の砦~
ペイル地方とイーストマーチ地方の中間あたりにある山賊が占拠する砦。
その最上階、山賊の頭のための部屋には山賊の頭への「献上品」が多く置かれている。
武器や鎧、金に……牢屋の中で動く影。
リコリス「いてて……、乱暴に入れやがって……。」
道で山賊に捕まり、この砦に連れてこられてから3時間ほど。
押し込められたこの牢屋で体力の回復を計っていた。
連れてこられてから3時間、今のところは無事だ。
どうやらここの主は留守らしく、こうして体力の回復ができている。
リコリス(この傷の癒え具合……近くにストームブリンガーがあるな。これはツイてるかもしれねぇ。)
ストームブリンガーの加護というべきかリコリスは常人の回復速度ではない。それはストームブリンガーがそばにあればなおさらの事。
肩の矢傷もすでに癒え、蹴られた四肢の痛みもすでに無視できるほどだ。
リコリス(次は油断しねぇぞ、吠え面かかせてやる。)
脱出にしてももう少し回復しねぇと……、と静かに回復を待つ。
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階段を登る音がする。
小さく舌打、もうきやがったか。
数人で馬鹿笑いを部屋に入ってきたのは基本的に偉そうな山賊の中でも一際偉そうな男。
話はすでに聞いていたのか、こちらの姿を認めるとニヤニヤと近づいてくる。
山賊頭「へっへっへ、てめぇが捕まったって不運な女戦士ってかい?まだ若ぇじゃねぇか。残念だったな。」
牢屋の鍵を開け中に入ってくる。後ろには二人同じような下卑た笑みを浮かべながら待機している。
リコリス「それであんたが頭の悪そうな頭ってか?女一人に寄ってたかってみっともねぇ頭と部下だぜ。」
また馬鹿笑いを響かせる山賊頭。
山賊頭「こいつぁ威勢がいいねぇ、そういう女が俺は大好きなんだよ。」
ふと力を感じ、自然と目に力がこもる。
リコリス「あんた、黒い剣も一緒に部下が持ってきただろ?悪いことはいわねぇ、あれ今すぐ捨てたほうがいいぜ。」
山賊頭は聞く耳持たず、こちらの体を舐めるように見ている。
リコリス「これはアンタへの助言だぜ。ありゃ魔剣だぜ。死にたくなけりゃ言う通りにしたほうがいい。」
山賊頭「はっ!何のことかわからねぇが減らず口を聞くためにお前を連れて来たんじゃねぇんだよ!楽しませてもらうぜ。」
そう言って更に近づいてくる。
リコリス「忠告はしてやったぜ。」リコリスの青い瞳が一瞬輝いたように見える。
リコリス「来い!ストームブリンガー!」
そう部屋に響き渡る声をあげる。
あっけにとられ、今にも笑い出しそうな山賊頭は次の瞬間、意識が一瞬で暗転した。
でたらめな起動を描いて意思ある魔剣がリコリスの呼び声に答えて飛来する。牢屋に入って入り口を塞いでいた山賊頭はその衝撃で吹っ飛ばされ絶命する。
そのままストームブリンガーはリコリスの頭を突き刺すように飛来するが、リコリスも体を逸らしそれを回避する。
壁に突き刺さるストームブリンガー。
リコリス「バーカ!だから言ったんだ。ざまぁみろってんだ!」
御付の山賊が慌てて武器を抜く。
山賊A「こ、この野郎!何しやがった!」
山賊B「てめぇゆるさねぇぞ!」
リコリス「や、やべっ!まだ手うごかねぇ!」詰めの甘さに慌てる。
口々に罵倒しながら武器を手に牢屋に入ってくる山賊、しかしさっきのストームブリンガーを見たのか、どこかへっぴり腰だ。
慌てて手を拘束されながらも立ち上がって回避に移れるように身構える。
その時―――
山賊C「て、敵襲だ!ストームクロークの鎮圧部隊だ!バケモノみてぇな強ぇやつが二人も!も、もうここまdギャアア!」
何人もの山賊が部屋に逃げ込んでくる。
それを追いかけるように青い衣に身を包んだ集団と、獣の毛皮から作られた立派な鎧を身に着けた二人が雪崩れ込んでくる。
外からは戦場の喚声が聞こえてくる。外は大混乱のようだ。
・
・
・
・
・
・
部屋の奥、つまり牢屋の前で固まる山賊たちとその集団―反乱軍、ストームクロークの部隊は対峙しにらみ合いになる。
大きな体の多いノルドの中でも一際大きな体のノルドがどこから声が出てるのか、牢屋が揺れそうなほどの大喝をあげる。
大柄のノルド「山賊ども!ここが年貢の納め時だ!観念しな!」
その横に静かに立つのは銀の髪と銀の剣が印象的な怜悧な美人。
こちらは大柄のノルドと違って溜息一つ、息すらもしてないのではないかと言うほど静か。
静かだがその殺気は冷たい氷の刃を辺りに突き刺してるような恐ろしさを感じる。
山賊B「くっくそ!いくら強かろうが関係ねぇ!てめぇら!あのでかぶつを数人がかりで殴れ!」
大柄のノルドが獰猛に笑う。
大柄のノルド「その程度の人数でか?」
振りかぶられた戦鎚が山賊を襲う暴風となる。
断末魔も骨の軋む音も砕ける音も全部飲み込んで、その戦鎚はなんと大の大人4人まとめて一撃で吹き飛ばす。
ば、ばけものだ!な、なんだこいつは!こ、こいつは……こいつはクルトだ……砦崩しのクルトだ!
口々に山賊は恐慌状態になる。
クルトと呼ばれた男はノルドらしい獰猛な笑みを浮かべる。
クルト「全員雄雄しく戦うか!いいだろう、ソヴンガルデに送ってやる!」
その声を皮切りにストームクロークの兵と山賊が真正面からぶつかり合う。
怒号と悲鳴、断末魔が飛び交う。
えらいことになったな、と牢屋から眺めていると恐怖で顔の張り付いた山賊が二人牢屋に入ってくる。
リコリス「え、ちょ!や、やめろって痛い痛い!」
山賊「動くな!」
その声にストームクロークの兵の動きが止まる。
山賊はもう牢屋に入ってきた二人のみ。
その2人は後ろ手に拘束されたリコリスを引き摺っている。
山賊「こ、こいつがどうなってもいいのか!へ、兵を下がらせろ!」
クルト「俺たちが人質を気にするとでも?」
山賊「い、いいから下がれ!てめぇら!本気だぞ!」
クルト「ちっ、最後にソヴンガルデ行きを捨てやがったか。」
さっきとは打って変って静かに兵を下がらせ、自分と静かな女性のみになる。
クルトは隣の女性に静かに目配せする。
小さく頷く女性。
一歩前に踏み出す。
山賊「く、くるな!人質がいるんだぞ!」
そこで初めて女性が口を開く。
女性「……私に人質は通用せぬ。」怜悧で冷たい声。
恐慌にかられた山賊は武器を抜きこちらに振りかぶるため、一瞬だけ女性から目を離す。
銀の女性の目が煌くようにその一瞬を捉える。
銀の剣の輝いた閃きのみが軌道を残す。
次の瞬間にはリコリスを拘束していた二人の山賊の首は胴から断たれていた。
クルト「さすが白銀狼だな。目にも留まらぬってやつか。」
白銀狼と呼ばれたその女性は、呆れたかのように溜息をつく。
ソニア「ソニアだ、嫌いではないが。」
名前はこちらに向けて言ったようにも聞こえる。
ソニアと名乗った女とクルトと呼ばれた男がこちらに近づいてくる。
クルト「あぶねぇところだったな。どこのもんだ?」
そう言って毛皮のマントをかけてくれる。この男、見た目のわりに意外と優しいかもしれない。
ソニアは一瞥し怪我がない……ほとんどストームブリンガーのおかげか、無事なのを確認した後、兵士を呼びにその場を一度後にする。
やがてストームクロークの兵士と共に戻ってきて、現場の調査に乗り出す。
その時奪われた装備も見つかったようだ。
リコリス(ひ、ひとまず助かったか……。)足の力が抜け、へなへなとその場に倒れこみそうになるリコリスでした。
・
・
・
ソニア(あの娘の持っている黒い剣……もしや報告にあったあの……。)
~あとがき~
今回はTwitterやTumblrでお世話になっている「義弘」さんの自作フォロワーのお二人に登場していただきました。
無骨ながら豪快なクルトさんと、怜悧な美貌のソニアさんです。
二人ともストームクロークの将校で、今回山賊の砦潰しでたまたま遭遇し、救出していただきました。
次回も出演していただく予定です。よろしくお願いします。
- [ edit ]
- RP日記
- / trackback:0
- / comment:2
Re: タイトルなし
- [ 編集 ]
- 2014/09/10(水) 21:13:51 |
- URL |
- Lycoris
コメントありがとうございます!
その期待はぜひラブラブ回で!(*'-')いつ来るのかわかりませんが……w
ストームブリンガーを振り回せれば負けないんですけどねw
プロフィール
Author:Lycoris
スカイリムのんびり更新日記。
Lycorisです。よろしくお願いします。
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