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リコリスの旅55話【第二章】 ウロック砦救出作戦 後編
~ウロック砦内部~
アグナー「おお、友よ。何か成果はあったか?実は扉を開けることはできたのだが……。」
「なんだ、開いたなら良かったぜ。こっちもこんなの手に入れたぜ。」
どや顔でコルグリムから奪い取った防護の鍵を見せる。
驚愕の顔を見せて防護の鍵を受取るアグナー。
アグナー「何?それじゃあのロイテナント・コルグリムを倒したのか?」
「ああ、変な生き物を呼び出して襲ってきたが全員始末した。兵士もかなりの数倒したと思うぜ。」
アグナー「待ってくれ!彼が死んだということはここには指揮官がいないのか、しかも兵士も消耗している。」
大きく頷き言葉をつなげる。
アグナー「これは大きな利点だ。君の突破力があれば残りの兵士の中でも突破はできそうだ。」
スヴェガルドとウルガルは戦果を聞き、ヒューウと口笛を鳴らす。どちらも闘争心を揺さぶられた生粋のノルド。
アグナー「イングヴァールの計略にはほとほと飽き飽きしていたところだ。ここらでぎゃふんと言わせてやろう。」
「ああ、正面突破だな!」
アグナー「そうだ、アンバークリークで互いの無事を祝おう。いくぞ!」
非戦闘員のウィルバーグとヤルマを守るように陣形を組み、扉を開けて外に出る。
~ウロッグ砦~
星空に彩られる外が見える。
どうやらここはウロック砦の奥まった部分らしい。ここを抜けて正門を目指す。
アグナー「友が多くの敵を倒してくれた!敵は浮き足立っているぞ!一気に突破して正門を目指せ!」
血気盛んなスヴェガルドが誰よりも早く飛び出して斬りかかる。
そのままノルドらしい獣のような咆哮をあげながら、次々に山賊を血祭りにあげていく。
ウルガルは冷静にヤルマとウィルバーグを守りながらも近づく山賊を片っ端から斬り飛ばす。
それを後ろから冷静に援護するのはソルロー、戦いは不慣れとは言っても戦いの術を知らぬわけではないらしい。
怒りと喜びか、守るべきもののあるアグナーはスヴェガルドのように勇猛果敢でありながら、決して二人から離れず敵に相対している。
負けじとこちらも突っ込む。
山賊「ひ、ひるむな!敵はたかが一人だ!」
山賊「ひ、ひぃ!こいつ噂の『旅人』だ!」
同時に切りかかってきた山賊をまとめて両方一薙ぎで真っ二つにする。
飛んできた矢をかすめるように避けながら近づき、ストームブリンガーを振るって魂を吸い尽くす。
・
・
・
・
・
・
・
・
砦内での戦闘で随分戦力を消耗していたのか、正門までなんなく辿り着けた。
とはいえ全員で数十人は斬った気はする。
アグナー「皆、無事か?スヴェガルド!頼む!」
その声を聞いてスヴェガルドが門を開ける。
やっと外に出れた。皆無事でよかったと一息ついたその時。
ストームブリンガーが震える。まだ終わってない証拠か。
それと同時にスヴェガルドとウルガルの殺気が更に増す。
その視線の先には立派な鎧に身を包んだ親衛隊をつれた馬に騎乗している男。
見覚えのあるその男は……。
アグナー「イングヴァール……!」
馬の上のイングヴァールはわざとらしくこちらに気がついた振りをする。
イングヴァール「おや?アグナー、こんなところで何をしている?ああ、なるほど。また民を助けるため群がっているのか。」
目の前までやってきたイングヴァールの軍はこちらと相対し止る。
イングヴァール「ふーむ、コルグリムの姿が見えないな。ニワトリを食い殺せるオオカミほどには有能かと思ったのだが。」
アグナー「これは私とお前の問題だ、イングヴァール。家族や友人たちは見逃せ。」
(おいおい、いくら敵が多いったって、この数ならオレ一人でもなんとかできるぜ?)
となりのウルガルに耳打ちする。
ウルガル(冷静になれ、友よ。こちらはヤルマとウィルバーグがいる。弓がこちらを狙っているということは人質に取られてるも同じだ。)
チッっと一つ舌打ちする。何か良い案は……。
イングヴァール「ほう、だがそうは思えんな。お前はソルローやヒョルガンナーどもに助けを求めた。」
馬から降り、アグナーをにらみつけながら言葉を続ける。
イングヴァール「お前が彼らを巻き込んだのだ。この戦いで彼らが死ぬのも、すべては貴様のせいだ。」
「上ッ等だ!コラ!ここでストームブリンガーの錆にしtモゴモゴモゴ」
ウルガルに後ろから羽交い絞めにされ言葉は中断される。
(私がその程度で錆びるわけないだろう。)(うるせぇ!)
イングヴァールはこちらを一瞥して話を続ける。
イングヴァール「このアグナーは本当に今でも言いなりにさせているのか?いったいどれほどの間、この無能な領主に好きなようにさせるつもりだ?」
その後しっかりとこちらを見つめ、こちらに話しかける。
イングヴァール「そしてそこにいるお前達の友人はどうだ?予言されし『旅人』よ。いや、光の門を越えてやってくる『災厄』よ。」
ニヤリと笑って背のストームブリンガーに目を向ける。
イングヴァール「知っているぞ、その剣。『裏切りの刃』だ。伝説かと思っていたが。お前達はその『災厄』がお前達のために戦っていると思っているのか?ハッ!愚かな。」
再びアグナーに向き直る。
イングヴァール「こうしよう、お前の友人や家族は見逃そう。こちらに鍵を渡せばだが。」
ソルロー「やめろ!」
イングヴァール「だがお前を見逃すつもりはない、アグナー。お前が全てを引き起こしたのだ!」
ウルガル「やめろアグナー!こいつが見逃すはずがない!」
こちらの拘束を解いてウルガルは叫ぶ。
スヴェガルド「こいつは約束を守るようなヤツじゃない!」
アグナーには二人の声は聞こえているだろうが、深く考え込むかのような表情。
そして口を開く。
アグナー「肝に銘じておけ、イングヴァール。お前は私を殺せるだろうが、それがお前にとっての破滅の元となる。」
しっかりとイングヴァールの目を見つめ宣言する。
アグナー「忘れるな、私の代わりに、民が、友が、戦いを続けるだろう。何故だかわかるか?それは指導者として彼らに報いてきたからだ。」
アグナー「王の強さとは、民に向ける誠実さにあるものだ。お前は自身の民を騙し、欺いた。貴様は王ではない。」
言葉を区切り、アグナーはイングヴァールに言い放つ。
アグナー「貴様はファルスカールの王に値しない。」
イングヴァール「下らん。『神々の心臓』を手にすればその誠実さなど陳腐なものだ。さぁ鍵を渡せ。」
アグナーは懐から自身の持つ鍵を取り出す。
ソルロー「ダメだ!他に方法があるはずだ!」
イングヴァール「他に方法などない。」
イングヴァールはアグナーの手から鍵を受取る。
鍵が本物か一つ一つ確かめて馬に乗る。
イングヴァール「ふむ、わざわざ集めてくれて感謝するぞアグナー。では私は立ち去ろう。諸君、それでは元気でな。」
そう言って馬を反転させ、来た道を戻る。
そして兵士に一言。
イングヴァール「こいつらを始末しろ。」
チッっと舌打ち、頭の中でストームブリンガーに怒鳴る。
(おい!やばいんだよ!どうにかしろ!)
(お前一人ならどうとでもなるだろう、私を抜いて斬りかかれ。殺して殺して全部殺せばいい。)
(それじゃだめなんだよ!全員助けろ!)
(知らん。自分でやれ。)
(じゃあさっきのやらせろ!どかーんってやつだ!)
(あれか?あれは私の魔術ではない。お前の力だ。)
(オレの…?しらねぇぞあんなの!)
(ならば念じろ、魔術なんてものは強い思い込みだ。魔術師どもは神々の力の一旦だとか、世界を形成する力だとか小難しいこと言うが、結局のところ強い意志でなんとかなるもんだ。さぁ時間はないぞ!)
「ちっくしょおおお!どうとでもなれぇ!皆を助けろおおお!」
さっきの感覚を思い出す、体中から魔力が集まる感覚。
敵兵の放った弓がこちら全員の命を奪うため迫りくる。
(少しだけ手伝ってやる。)頭の中で瞬時に呪文が詠唱される。
「いっけぇぇぇぇぇ!」
BOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOM
目の前が真っ白になる。その衝撃でウィルバードとヤルマを守るためアグナーが身を屈める。
大地を揺るがすような爆発は、こちらに飛んできた矢も全て吹き飛ばす。
ウルガル「いまだ!このチャンスを逃すな!」
その叫びにスヴェガルドがまだ消えぬ炎の中を突っ切って敵兵に踊りかかる。
爆発に竦んでいる敵兵を次々に始末する。
全身の魔力が抜け落ちたかのような身体のだるさを覚えたが、負けじと疾走し、こちらに狙いを定める弓兵に斬りかかる。
寸でで肩に弓を射られ、至近距離で黒檀鎧を貫通し肩に激痛が走るが無視して肩から腰までばっさりと斬り捨てる。
ストームブリンガーから活力が流れ込み、底をつきかけた魔力が回復し、肩の傷も急激に癒える。
・
・
・
・
・
・
浮き足立った敵を蹴散らすのはそう難しくはなかった。
戦いは終わり、アグナーが近づく。
アグナー「すまない、私が不甲斐ないせいで。君には助けられた。」
「い、いや、こっちもすまねぇ。守れなかった。」
アグナー「君は急いでアンバークリークに戻ってくれ。イングヴァールは5つの鍵を全て手に入れた。心臓の在り処もつかんでいるのだろう。」
アグナー「神々の心臓を手に入れればヤツは不死身となってしまう。我々は軍を収集し、今回限りで終わらせなければならない。君は先に戻ってロイズとクーロンに事の次第を伝えてくれ。彼らならすぐに行動を起こしてくれるだろう。」
アグナーはこちらの肩に手を置き、しっかりと目を見つめる。
アグナー「君がこの中で一番足が速い。道中に私はウルガルとスヴェガルドとソルローとこれからの計画について練っておく。」
もはや一刻の猶予もない、頼む!と力強い言葉を背に聞きながら、風のように雷撃のようにアンバークリークへと走るのでした。
アグナー「何?それじゃあのロイテナント・コルグリムを倒したのか?」
「ああ、変な生き物を呼び出して襲ってきたが全員始末した。兵士もかなりの数倒したと思うぜ。」
アグナー「待ってくれ!彼が死んだということはここには指揮官がいないのか、しかも兵士も消耗している。」
大きく頷き言葉をつなげる。
アグナー「これは大きな利点だ。君の突破力があれば残りの兵士の中でも突破はできそうだ。」
スヴェガルドとウルガルは戦果を聞き、ヒューウと口笛を鳴らす。どちらも闘争心を揺さぶられた生粋のノルド。
アグナー「イングヴァールの計略にはほとほと飽き飽きしていたところだ。ここらでぎゃふんと言わせてやろう。」
「ああ、正面突破だな!」
アグナー「そうだ、アンバークリークで互いの無事を祝おう。いくぞ!」
非戦闘員のウィルバーグとヤルマを守るように陣形を組み、扉を開けて外に出る。
~ウロッグ砦~
星空に彩られる外が見える。
どうやらここはウロック砦の奥まった部分らしい。ここを抜けて正門を目指す。
アグナー「友が多くの敵を倒してくれた!敵は浮き足立っているぞ!一気に突破して正門を目指せ!」
血気盛んなスヴェガルドが誰よりも早く飛び出して斬りかかる。
そのままノルドらしい獣のような咆哮をあげながら、次々に山賊を血祭りにあげていく。
ウルガルは冷静にヤルマとウィルバーグを守りながらも近づく山賊を片っ端から斬り飛ばす。
それを後ろから冷静に援護するのはソルロー、戦いは不慣れとは言っても戦いの術を知らぬわけではないらしい。
怒りと喜びか、守るべきもののあるアグナーはスヴェガルドのように勇猛果敢でありながら、決して二人から離れず敵に相対している。
負けじとこちらも突っ込む。
山賊「ひ、ひるむな!敵はたかが一人だ!」
山賊「ひ、ひぃ!こいつ噂の『旅人』だ!」
同時に切りかかってきた山賊をまとめて両方一薙ぎで真っ二つにする。
飛んできた矢をかすめるように避けながら近づき、ストームブリンガーを振るって魂を吸い尽くす。
・
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砦内での戦闘で随分戦力を消耗していたのか、正門までなんなく辿り着けた。
とはいえ全員で数十人は斬った気はする。
アグナー「皆、無事か?スヴェガルド!頼む!」
その声を聞いてスヴェガルドが門を開ける。
やっと外に出れた。皆無事でよかったと一息ついたその時。
ストームブリンガーが震える。まだ終わってない証拠か。
それと同時にスヴェガルドとウルガルの殺気が更に増す。
その視線の先には立派な鎧に身を包んだ親衛隊をつれた馬に騎乗している男。
見覚えのあるその男は……。
アグナー「イングヴァール……!」
馬の上のイングヴァールはわざとらしくこちらに気がついた振りをする。
イングヴァール「おや?アグナー、こんなところで何をしている?ああ、なるほど。また民を助けるため群がっているのか。」
目の前までやってきたイングヴァールの軍はこちらと相対し止る。
イングヴァール「ふーむ、コルグリムの姿が見えないな。ニワトリを食い殺せるオオカミほどには有能かと思ったのだが。」
アグナー「これは私とお前の問題だ、イングヴァール。家族や友人たちは見逃せ。」
(おいおい、いくら敵が多いったって、この数ならオレ一人でもなんとかできるぜ?)
となりのウルガルに耳打ちする。
ウルガル(冷静になれ、友よ。こちらはヤルマとウィルバーグがいる。弓がこちらを狙っているということは人質に取られてるも同じだ。)
チッっと一つ舌打ちする。何か良い案は……。
イングヴァール「ほう、だがそうは思えんな。お前はソルローやヒョルガンナーどもに助けを求めた。」
馬から降り、アグナーをにらみつけながら言葉を続ける。
イングヴァール「お前が彼らを巻き込んだのだ。この戦いで彼らが死ぬのも、すべては貴様のせいだ。」
「上ッ等だ!コラ!ここでストームブリンガーの錆にしtモゴモゴモゴ」
ウルガルに後ろから羽交い絞めにされ言葉は中断される。
(私がその程度で錆びるわけないだろう。)(うるせぇ!)
イングヴァールはこちらを一瞥して話を続ける。
イングヴァール「このアグナーは本当に今でも言いなりにさせているのか?いったいどれほどの間、この無能な領主に好きなようにさせるつもりだ?」
その後しっかりとこちらを見つめ、こちらに話しかける。
イングヴァール「そしてそこにいるお前達の友人はどうだ?予言されし『旅人』よ。いや、光の門を越えてやってくる『災厄』よ。」
ニヤリと笑って背のストームブリンガーに目を向ける。
イングヴァール「知っているぞ、その剣。『裏切りの刃』だ。伝説かと思っていたが。お前達はその『災厄』がお前達のために戦っていると思っているのか?ハッ!愚かな。」
再びアグナーに向き直る。
イングヴァール「こうしよう、お前の友人や家族は見逃そう。こちらに鍵を渡せばだが。」
ソルロー「やめろ!」
イングヴァール「だがお前を見逃すつもりはない、アグナー。お前が全てを引き起こしたのだ!」
ウルガル「やめろアグナー!こいつが見逃すはずがない!」
こちらの拘束を解いてウルガルは叫ぶ。
スヴェガルド「こいつは約束を守るようなヤツじゃない!」
アグナーには二人の声は聞こえているだろうが、深く考え込むかのような表情。
そして口を開く。
アグナー「肝に銘じておけ、イングヴァール。お前は私を殺せるだろうが、それがお前にとっての破滅の元となる。」
しっかりとイングヴァールの目を見つめ宣言する。
アグナー「忘れるな、私の代わりに、民が、友が、戦いを続けるだろう。何故だかわかるか?それは指導者として彼らに報いてきたからだ。」
アグナー「王の強さとは、民に向ける誠実さにあるものだ。お前は自身の民を騙し、欺いた。貴様は王ではない。」
言葉を区切り、アグナーはイングヴァールに言い放つ。
アグナー「貴様はファルスカールの王に値しない。」
イングヴァール「下らん。『神々の心臓』を手にすればその誠実さなど陳腐なものだ。さぁ鍵を渡せ。」
アグナーは懐から自身の持つ鍵を取り出す。
ソルロー「ダメだ!他に方法があるはずだ!」
イングヴァール「他に方法などない。」
イングヴァールはアグナーの手から鍵を受取る。
鍵が本物か一つ一つ確かめて馬に乗る。
イングヴァール「ふむ、わざわざ集めてくれて感謝するぞアグナー。では私は立ち去ろう。諸君、それでは元気でな。」
そう言って馬を反転させ、来た道を戻る。
そして兵士に一言。
イングヴァール「こいつらを始末しろ。」
チッっと舌打ち、頭の中でストームブリンガーに怒鳴る。
(おい!やばいんだよ!どうにかしろ!)
(お前一人ならどうとでもなるだろう、私を抜いて斬りかかれ。殺して殺して全部殺せばいい。)
(それじゃだめなんだよ!全員助けろ!)
(知らん。自分でやれ。)
(じゃあさっきのやらせろ!どかーんってやつだ!)
(あれか?あれは私の魔術ではない。お前の力だ。)
(オレの…?しらねぇぞあんなの!)
(ならば念じろ、魔術なんてものは強い思い込みだ。魔術師どもは神々の力の一旦だとか、世界を形成する力だとか小難しいこと言うが、結局のところ強い意志でなんとかなるもんだ。さぁ時間はないぞ!)
「ちっくしょおおお!どうとでもなれぇ!皆を助けろおおお!」
さっきの感覚を思い出す、体中から魔力が集まる感覚。
敵兵の放った弓がこちら全員の命を奪うため迫りくる。
(少しだけ手伝ってやる。)頭の中で瞬時に呪文が詠唱される。
「いっけぇぇぇぇぇ!」
BOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOM
目の前が真っ白になる。その衝撃でウィルバードとヤルマを守るためアグナーが身を屈める。
大地を揺るがすような爆発は、こちらに飛んできた矢も全て吹き飛ばす。
ウルガル「いまだ!このチャンスを逃すな!」
その叫びにスヴェガルドがまだ消えぬ炎の中を突っ切って敵兵に踊りかかる。
爆発に竦んでいる敵兵を次々に始末する。
全身の魔力が抜け落ちたかのような身体のだるさを覚えたが、負けじと疾走し、こちらに狙いを定める弓兵に斬りかかる。
寸でで肩に弓を射られ、至近距離で黒檀鎧を貫通し肩に激痛が走るが無視して肩から腰までばっさりと斬り捨てる。
ストームブリンガーから活力が流れ込み、底をつきかけた魔力が回復し、肩の傷も急激に癒える。
・
・
・
・
・
・
浮き足立った敵を蹴散らすのはそう難しくはなかった。
戦いは終わり、アグナーが近づく。
アグナー「すまない、私が不甲斐ないせいで。君には助けられた。」
「い、いや、こっちもすまねぇ。守れなかった。」
アグナー「君は急いでアンバークリークに戻ってくれ。イングヴァールは5つの鍵を全て手に入れた。心臓の在り処もつかんでいるのだろう。」
アグナー「神々の心臓を手に入れればヤツは不死身となってしまう。我々は軍を収集し、今回限りで終わらせなければならない。君は先に戻ってロイズとクーロンに事の次第を伝えてくれ。彼らならすぐに行動を起こしてくれるだろう。」
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