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リコリスの旅48話【第二章】 代償
48話です。
もうすぐ50話ですね。50話記念のなんかしたいですね。
カルラン修道院での戦いを終えて3人はアンバークリークの村へと急いでいた。
しかし途中綺麗な小川があり、アグナーの気遣いで少し血を洗い流すリコリス。
~清らかな小川~
「右目がいてぇ、血が入ったか。」
あの戦いの後右目が痺れたように開かない。
綺麗な小川でよく洗い流す。ゆっくりと開き両目で川に映る自分の顔を見て驚愕する。
「な、なんだこれ……。」
慌ててマントを破り頭に巻きつける。
アグナー「大丈夫か?友よ、そろそろ出発しよう。」
「あ、ああ、大丈夫だ。すぐ行くぜ。」
~アンバークリークの町・首長の屋敷~
屋敷に戻るとクーロンとロイズ、そしてスヴェガルドとウルガルが戻っていた。
クーロン「帰ったか、……ふむ。」
ロイズ「リコリスちゃん、その包帯は怪我したんですか?大丈夫ですか?」
「ん、ああぁ大丈夫だぜ!ちょっと掠っただけ、怪我はほとんどなおってるんだがなあはは。」
ロイズ「後で見せてください、痕になったら大変ですよ。」
「だ、だいじょうぶだって!もう傷も治ったから!ほら、アグナーがきたぜ。」
ウルガルとスヴェガルドに報告を聞いていたアグナーが戻ってくる
アグナー「全員集まっているな。では始めよう。」
全員が席につく。
今回もオレとクーロンは後ろに控え、ロイズさんが会議のイスに座る。
アグナー「新たに鍵は二つ手に入れた。『知恵の鍵』と『力の鍵』だ。これで三つ。そしてイングヴァールは二つ手にしている。」
スヴェガルド「だが、俺たちは三つだ。俺の知る限りじゃ三つのほうが多いな。」
ウルガル「スヴェガルドの言う事はもっともだな。」
ノルドらしくこんな状況でも豪放磊落に笑っている。頼りになるが声がでかい。
それに対して呆れたようなソルロー。
ソルロー「イングヴァールに鍵を持たせてはいけないんだ。」
ウルガルもスヴェガルドもばつの悪そうな雰囲気。
スヴェガルド「あー…。」 ウルガル「それももっともだな……。」
ロイズ「では、どうしますか?」
ソルロー「『心臓の部屋』だ。」
クーロン「ほう、聞いた事がある。」
ソルロー「さすが詳しいな。心臓の部屋とは神々の心臓を保管するために作られた地下洞窟の名なのだ。」
「つまりそれを見つければいいってことか。」
しっかりと頷くソルロー。
ソルロー「その通りだ。イングヴァールがその場所を知っているにせよ、そこを見つけ出さなければならない。」
ウルガル「じゃあそれはどうやって見つける?」
ソルロー「かつて学者たちが北西の古びた遺跡で研究していた。」
スヴェガルド「ヴィズムンドステッドか?その話なら有名だ。誰だって知ってる。」
ソルロー「そうだ、学者達はそこにいた……。その場所が目覚め、ドゥーマーの機械が哀れな男達を打ちのめすまではな。そこに一冊の本がある。心臓の部屋に関する文献だ。それにはあらゆる情報が記載されている。どこにあるかも含めてな。」
「その本はどうやったら手に入るんだ?」
ソルロー「誰かがそこに行き、手に入れるしかない。」
ロイズ「私たちが行きましょう。首長はここを離れるわけにはいきませんし、ウルガルさんスヴェガルドさんもその護衛として必要です。」
ソルロー「私も行けるものなら行きたい、しかし戦いも、迷宮の探索も得意ではない。カルランで思い知らされた。」
しっかりと頷くロイズ。
ロイズ「適材適所、というだけです。私たちに任せてください。」
クーロン「そんな知識の宝庫なら、俺も興味あるからな。行かせてもらうぜ。」
「まかせてくれ!」
アグナー「友よ、感謝する。では、決まりだ。我らの友人が向かう。」
ソルロー「ヴィズムンドステッドはドゥーマーの機械が復活し、ただ一人を残して全てが失われた。その男がヴィズムンドステッドの場所を知らせてくれたが、あまりにも失われたものが多すぎる。おっと、本題は入る方法だったな。」
コホンと一息ついて言葉をつなげる。ウルガルのこれだから修道士は話が長いという呟きをにらみながら。
ソルロー「実際の入り口は封印されている。しかし伝説によれば、西側のウォーターヴァインの溝を通ってアクセスができるという。そこは巨大な洞穴と地下川、遺跡に巨大な雲の巣のように繋がっている。間違いなく図書館まで続いている。」
「そこを通っていくわけか、なかなかの遠出になりそうだな。」
ソルロー「入れたら『心臓の部屋』という本を探してくれ。それが我々の必要としているものだ。」
ロイズ「わかりました、それさえあればイングヴァールが心臓を手に入れる前に止められるわけですね。」
ソルロー「そうだ、どんな危険が待ち受けているか分からないが、君たちならやり遂げられるだろう。ショールがお前の旅を導いてくれるように。」
スヴェガルド「道中気をつけてな、友よ。」
ウルガル「幸運を祈っている。」
アグナー「神のご加護があらんことを。」
それぞれの声を聞きながら会議は終わる。
そして準備をするため一度宿に戻る。
~アンバーミードの宿~
クーロン「おい、リコリス。ちょっときな。」
準備をしていると、部屋にクーロンがやってくる。
ロイズ「どうかしました?」後ろから顔を出すのはロイズさんだ。
「ん、どうした?」顔をあげた瞬間、顔の包帯を剥ぎ取られる。
「うおっ!お、おい!返せよ!」
じっくりとこちらの顔を見つめ溜息をつく。
クーロン「やはりな、帰ってきてから魔力の質が代わっていたからな。」
顔を背けるももう遅い。
燃える炎のような瞳は片方失われ、変わりにそこには深い海のような蒼。
ロイズ「またストームブリンガーの力を……?」
「わりぃ、心配かけたくなかったんだけど……。」
クーロン「お前さんはもう戦うな。体調だけじゃなく、身体的にまで影響が出始めた。これ以上は後はねぇぜ。」
「そ、そうはいかない!オレだって戦わないと……戦争はもう始まってるんだぜ!?」
クーロン「お前の持つその剣は裏切りの剣だ。お前を裏切り全てを裏切り、その刀身に魂を吸い続けることになる。」
でも……。
「でも、オレはこんなところで立ち止れないんだ。早く戻らないと……早く戻らないといけないんだ。」
ロイズ「……大丈夫ですよ、クーロンさん。」
少し驚いたように振り向きロイズに目を向けるクーロン。
ロイズ「リコリスちゃんは強い子です。今や彼女の力はこの戦争を終わらせるために必要不可欠になってしまった。」
クーロン「しかしだな……これ以上はこいつの身体も……。」
ロイズ「そのために私たちが頑張ればいいんですよ。それに……。」
こちらを見つめにっこりと微笑む。
ロイズ「リコリスちゃんを置いていくと一人でイングヴァールのところに乗り込みかねませんよ?そのくらい彼女は猪突猛進なんですから。」
「いや、さすがにそれは……いや、その手があったか……。」
ゆっくりと溜息をつくクーロン。
クーロン「やれやれだぜ……。お前の鎧に俺の知ってる軽いまじないをかけておいてやる。これで少しは魂の連結を断てる筈だ。あまり強い付呪じゃないからすぐに切れちまうが……。」
「さ、さんきゅー!い、いやなんというか…あ、ありがとう……。」
ロイズさんはにこにこ笑っているし、クーロンは頭を掻きながらよくわからない呪文を呟いてオレの鎧に何か書き込んでいる。
「オレは大丈夫!心配してくれてありがとな。」
肩をすくめながら出て行くクーロンと、こちらに軽く手を振って笑顔で出て行くロイズさん。
そして明日の出発のために荷物の用意を再開するのだった。
もうすぐ50話ですね。50話記念のなんかしたいですね。
カルラン修道院での戦いを終えて3人はアンバークリークの村へと急いでいた。
しかし途中綺麗な小川があり、アグナーの気遣いで少し血を洗い流すリコリス。
~清らかな小川~
「右目がいてぇ、血が入ったか。」
あの戦いの後右目が痺れたように開かない。
綺麗な小川でよく洗い流す。ゆっくりと開き両目で川に映る自分の顔を見て驚愕する。
「な、なんだこれ……。」
慌ててマントを破り頭に巻きつける。
アグナー「大丈夫か?友よ、そろそろ出発しよう。」
「あ、ああ、大丈夫だ。すぐ行くぜ。」
~アンバークリークの町・首長の屋敷~
屋敷に戻るとクーロンとロイズ、そしてスヴェガルドとウルガルが戻っていた。
クーロン「帰ったか、……ふむ。」
ロイズ「リコリスちゃん、その包帯は怪我したんですか?大丈夫ですか?」
「ん、ああぁ大丈夫だぜ!ちょっと掠っただけ、怪我はほとんどなおってるんだがなあはは。」
ロイズ「後で見せてください、痕になったら大変ですよ。」
「だ、だいじょうぶだって!もう傷も治ったから!ほら、アグナーがきたぜ。」
ウルガルとスヴェガルドに報告を聞いていたアグナーが戻ってくる
アグナー「全員集まっているな。では始めよう。」
全員が席につく。
今回もオレとクーロンは後ろに控え、ロイズさんが会議のイスに座る。
アグナー「新たに鍵は二つ手に入れた。『知恵の鍵』と『力の鍵』だ。これで三つ。そしてイングヴァールは二つ手にしている。」
スヴェガルド「だが、俺たちは三つだ。俺の知る限りじゃ三つのほうが多いな。」
ウルガル「スヴェガルドの言う事はもっともだな。」
ノルドらしくこんな状況でも豪放磊落に笑っている。頼りになるが声がでかい。
それに対して呆れたようなソルロー。
ソルロー「イングヴァールに鍵を持たせてはいけないんだ。」
ウルガルもスヴェガルドもばつの悪そうな雰囲気。
スヴェガルド「あー…。」 ウルガル「それももっともだな……。」
ロイズ「では、どうしますか?」
ソルロー「『心臓の部屋』だ。」
クーロン「ほう、聞いた事がある。」
ソルロー「さすが詳しいな。心臓の部屋とは神々の心臓を保管するために作られた地下洞窟の名なのだ。」
「つまりそれを見つければいいってことか。」
しっかりと頷くソルロー。
ソルロー「その通りだ。イングヴァールがその場所を知っているにせよ、そこを見つけ出さなければならない。」
ウルガル「じゃあそれはどうやって見つける?」
ソルロー「かつて学者たちが北西の古びた遺跡で研究していた。」
スヴェガルド「ヴィズムンドステッドか?その話なら有名だ。誰だって知ってる。」
ソルロー「そうだ、学者達はそこにいた……。その場所が目覚め、ドゥーマーの機械が哀れな男達を打ちのめすまではな。そこに一冊の本がある。心臓の部屋に関する文献だ。それにはあらゆる情報が記載されている。どこにあるかも含めてな。」
「その本はどうやったら手に入るんだ?」
ソルロー「誰かがそこに行き、手に入れるしかない。」
ロイズ「私たちが行きましょう。首長はここを離れるわけにはいきませんし、ウルガルさんスヴェガルドさんもその護衛として必要です。」
ソルロー「私も行けるものなら行きたい、しかし戦いも、迷宮の探索も得意ではない。カルランで思い知らされた。」
しっかりと頷くロイズ。
ロイズ「適材適所、というだけです。私たちに任せてください。」
クーロン「そんな知識の宝庫なら、俺も興味あるからな。行かせてもらうぜ。」
「まかせてくれ!」
アグナー「友よ、感謝する。では、決まりだ。我らの友人が向かう。」
ソルロー「ヴィズムンドステッドはドゥーマーの機械が復活し、ただ一人を残して全てが失われた。その男がヴィズムンドステッドの場所を知らせてくれたが、あまりにも失われたものが多すぎる。おっと、本題は入る方法だったな。」
コホンと一息ついて言葉をつなげる。ウルガルのこれだから修道士は話が長いという呟きをにらみながら。
ソルロー「実際の入り口は封印されている。しかし伝説によれば、西側のウォーターヴァインの溝を通ってアクセスができるという。そこは巨大な洞穴と地下川、遺跡に巨大な雲の巣のように繋がっている。間違いなく図書館まで続いている。」
「そこを通っていくわけか、なかなかの遠出になりそうだな。」
ソルロー「入れたら『心臓の部屋』という本を探してくれ。それが我々の必要としているものだ。」
ロイズ「わかりました、それさえあればイングヴァールが心臓を手に入れる前に止められるわけですね。」
ソルロー「そうだ、どんな危険が待ち受けているか分からないが、君たちならやり遂げられるだろう。ショールがお前の旅を導いてくれるように。」
スヴェガルド「道中気をつけてな、友よ。」
ウルガル「幸運を祈っている。」
アグナー「神のご加護があらんことを。」
それぞれの声を聞きながら会議は終わる。
そして準備をするため一度宿に戻る。
~アンバーミードの宿~
クーロン「おい、リコリス。ちょっときな。」
準備をしていると、部屋にクーロンがやってくる。
ロイズ「どうかしました?」後ろから顔を出すのはロイズさんだ。
「ん、どうした?」顔をあげた瞬間、顔の包帯を剥ぎ取られる。
「うおっ!お、おい!返せよ!」
じっくりとこちらの顔を見つめ溜息をつく。
クーロン「やはりな、帰ってきてから魔力の質が代わっていたからな。」
顔を背けるももう遅い。
燃える炎のような瞳は片方失われ、変わりにそこには深い海のような蒼。
ロイズ「またストームブリンガーの力を……?」
「わりぃ、心配かけたくなかったんだけど……。」
クーロン「お前さんはもう戦うな。体調だけじゃなく、身体的にまで影響が出始めた。これ以上は後はねぇぜ。」
「そ、そうはいかない!オレだって戦わないと……戦争はもう始まってるんだぜ!?」
クーロン「お前の持つその剣は裏切りの剣だ。お前を裏切り全てを裏切り、その刀身に魂を吸い続けることになる。」
でも……。
「でも、オレはこんなところで立ち止れないんだ。早く戻らないと……早く戻らないといけないんだ。」
ロイズ「……大丈夫ですよ、クーロンさん。」
少し驚いたように振り向きロイズに目を向けるクーロン。
ロイズ「リコリスちゃんは強い子です。今や彼女の力はこの戦争を終わらせるために必要不可欠になってしまった。」
クーロン「しかしだな……これ以上はこいつの身体も……。」
ロイズ「そのために私たちが頑張ればいいんですよ。それに……。」
こちらを見つめにっこりと微笑む。
ロイズ「リコリスちゃんを置いていくと一人でイングヴァールのところに乗り込みかねませんよ?そのくらい彼女は猪突猛進なんですから。」
「いや、さすがにそれは……いや、その手があったか……。」
ゆっくりと溜息をつくクーロン。
クーロン「やれやれだぜ……。お前の鎧に俺の知ってる軽いまじないをかけておいてやる。これで少しは魂の連結を断てる筈だ。あまり強い付呪じゃないからすぐに切れちまうが……。」
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