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リコリスの旅49話【第二章】 深く深く
49話です。
久しぶりの3人PT。
戦わなくていいのはとても楽です。
~ウォーターヴァインの溝~
「ここがウォーターヴァインの溝?」
クーロン「そうだ、ここが目的の場所だ。」
ロイズ「この奥に『心臓の部屋』の本があるのですね。」
「うっし、んじゃさっさととってこようぜ。」
薄暗いジメジメとした洞窟へと足を踏み入れる。
クーロン「どうやら、先客がいるようだぜ。」
「山賊か。」背中のストームブリンガーに手を伸ばす。
その手に後ろから手が触れる。
ロイズ「大丈夫ですよ、今は私もクーロンさんもいますから。まだ出番は先です。」
クーロン「ロイズ、曲がり角、曲がった先その先にこちらに背を向けてイスに座ってる。」
静かに頷くロイズ。
腰からナイフを抜き取り、驚くほど静かに影に隠れる。
「すげぇ、クーロンもどうしてわかったんだ?」
クーロン「ちょっとした便利な魔法ってやつだ。」
小さな悲鳴も残さずロイズさんが戻ってくる。
ロイズ「いけますよ。」
進むと机の横には死体。
「日記…か?」
机の上にある手帳を手に取る。
クーロン「どうやらまだまだ盗賊どもがいるみたいだな。」
「まぁ、簡単にはいかねぇか。気をつけていこう。」
・
・
・
・
・
前をクーロン、後ろをロイズさん、そして真ん中に自分。
索敵能力の高い二人が守ってくれてる安心感。
(いっつも気づかれてからだったから、安心できるなぁ。)
「うわーーすっげぇ、なんて広さだろう。」
ロイズ(シーッ!声が大きいですよ。)
さらに進むと大空洞に出た3人。
クーロン「何人かいるな、ロイズ。」
ロイズ「いけますよ。」
物陰から静かに弓矢で狙撃する。
瞬く間に4人仕留め、音も無く戦いは終わった。
死体や持ち物から何か情報はないか漁る。
「おーい、ここになんか日記があるぜ。」
机の上には食料と日記。
呼び声にクーロンが近づいてくる。
クーロン「どれどれ……。」
クーロン「日記にもある通り蜘蛛の巣があった、つまり山賊はその先には行ってない。ここで始末したので終わりみてぇだな。」
「げ、蜘蛛がいるのかよ……。」モグモグ
クーロン「なんだ、蜘蛛が苦手なのか?負けやしねぇだろ。」
「わさわさ動くのがいやなんだよ気持ち悪い。」モグモグ
にやりと笑ってこちらを見やる。
クーロン「案外子供っぽいな。見たとおりか。」
「うるせー!」モグモグゴチソウサマデシタ
ロイズ「周辺には何もいませんね、奥の蜘蛛の巣くらいでしょう。」
・
・
・
二人の言ったとおり、道を進むと明らかに蜘蛛の巣らしきものが見え始める。
「しかもかなりの規模じゃん……。」
クーロン「文句言ってられねぇさ、武器を持て、行くぜ。」
各々武器を抜き蜘蛛の巣を払ってすすむ。
気を使ってくれてるのか、こちらが走り出す前にクーロンは業火と雷撃の魔法で蜘蛛を蹴散らし、
生き残った蜘蛛は的確にロイズさんが始末していく。
「うげえええ、き、きもちわるい!ク、クーロン!焼き払って!」
クーロン「魔力も無限じゃねぇんだ。我慢しろ、さっさと越えりゃ大丈夫だろ。」
「ううううううぅぅぅっ」眼をつぶって歩く。ロイズさんが苦笑しながら手を引いてくれる。
クーロン「抜けたぜ、っとこりゃまたすごいな。」
蜘蛛の巣を抜けるとまた巨大な空間に出る。
「す、すげーーー!」
そこは水源に繋がっているのか、地下水が下を流れ、腐りかけではあるが橋がかかっていた。
その橋の先にはノルド様式の遺跡が見える。
ロイズ「あれが目的の遺跡ですか。」
クーロン「気をつけて進めよ、板が腐ってるからな。」
慎重に進み、なんとか遺跡の石畳の床まで到着する。
ロイズ「今日はここまでにしておきましょう。外ではもう陽も落ちてくる頃です。」
クーロン「そうだな、今日はここで野営しよう。奥へ行く扉は……簡単には開きそうにはねぇし奇襲は受ける心配なさそうだ。」
「んじゃテント…はねぇし寝袋だな。」
・
・
・
・
・
ござを敷き寝袋を用意する。
簡単な食事を済ませると、一番緊張し疲れたであろうロイズさんに先に休んでもらう。
・
・
・
・
焚き火の揺らめく火を眺めながら、食後の時間を過ごす。
(ボハン大丈夫かなぁ……。)
クーロン「なんだ?想い人のことでも考えてたか?」
「ば!ばっか!そんなんじゃねぇし!お、親父みたいなもんだよ……。」慌てて否定する。
クーロン「くっくっくっく、どちらにせよ信頼してんだな。どんなやつなんだ?」
「そ、そうだなぁ、最初の冒険の時は……。」
最初の仕事の事。仕事終わりの事。そこから続く訓練の日々。
仕事以外の思い出や喧嘩した話、叱られた話。怒った話。
それにストームブリンガーを手にした後の話。
クーロン「色々回ったんだな。結構な経験積ませてもらった恩人じゃねぇか。」
「オ、オレの話はいいだろ!クーロンはどうなんだよ。」
サングラスで隠されたクーロンの顔色は相変わらず読めない。
クーロン「俺か?俺は依頼でな。いい雇い主ではあるんだが、まったく人遣いが荒いってもんで、こんなところまで来る事になっちまったぜ。」
「すっかり長旅になっちまったなぁ。でも、ここで心臓の部屋の本を手に入れれば……。」
しっかりと頷くクーロン。
クーロン「ああ、後手に回り続けた俺たちもここで逆転だ。」
クーロン「さ、明日も大変だし、先に休んでな。俺が見張りはしてるからよ。」
「オレは今日は疲れてねぇから先に……。」
にやりと笑うクーロン。
クーロン「なんだ?まだ想い人の事考えたりねぇってか?」
「ち、ちげぇって!わーったよ、んじゃ疲れたらすぐ起こしてくれよ。わりぃな。」
一人で寝てたいつもと違って人の気配がする安心感。
(今日はあいつにも……悩まされず寝れそう……だぜ。)
深く眠りに落ちるリコリスでした。
49話です。
このダンジョンは深いので2部構成となっております。
最後の焚き火を囲んでのイメージはテイルズとかのフェイスチャットなイメージ。
ああいうの好きです。
久しぶりの3人PT。
戦わなくていいのはとても楽です。
~ウォーターヴァインの溝~
「ここがウォーターヴァインの溝?」
クーロン「そうだ、ここが目的の場所だ。」
ロイズ「この奥に『心臓の部屋』の本があるのですね。」
「うっし、んじゃさっさととってこようぜ。」
薄暗いジメジメとした洞窟へと足を踏み入れる。
クーロン「どうやら、先客がいるようだぜ。」
「山賊か。」背中のストームブリンガーに手を伸ばす。
その手に後ろから手が触れる。
ロイズ「大丈夫ですよ、今は私もクーロンさんもいますから。まだ出番は先です。」
クーロン「ロイズ、曲がり角、曲がった先その先にこちらに背を向けてイスに座ってる。」
静かに頷くロイズ。
腰からナイフを抜き取り、驚くほど静かに影に隠れる。
「すげぇ、クーロンもどうしてわかったんだ?」
クーロン「ちょっとした便利な魔法ってやつだ。」
小さな悲鳴も残さずロイズさんが戻ってくる。
ロイズ「いけますよ。」
進むと机の横には死体。
「日記…か?」
机の上にある手帳を手に取る。
クーロン「どうやらまだまだ盗賊どもがいるみたいだな。」
「まぁ、簡単にはいかねぇか。気をつけていこう。」
・
・
・
・
・
前をクーロン、後ろをロイズさん、そして真ん中に自分。
索敵能力の高い二人が守ってくれてる安心感。
(いっつも気づかれてからだったから、安心できるなぁ。)
「うわーーすっげぇ、なんて広さだろう。」
ロイズ(シーッ!声が大きいですよ。)
さらに進むと大空洞に出た3人。
クーロン「何人かいるな、ロイズ。」
ロイズ「いけますよ。」
物陰から静かに弓矢で狙撃する。
瞬く間に4人仕留め、音も無く戦いは終わった。
死体や持ち物から何か情報はないか漁る。
「おーい、ここになんか日記があるぜ。」
机の上には食料と日記。
呼び声にクーロンが近づいてくる。
クーロン「どれどれ……。」
クーロン「日記にもある通り蜘蛛の巣があった、つまり山賊はその先には行ってない。ここで始末したので終わりみてぇだな。」
「げ、蜘蛛がいるのかよ……。」モグモグ
クーロン「なんだ、蜘蛛が苦手なのか?負けやしねぇだろ。」
「わさわさ動くのがいやなんだよ気持ち悪い。」モグモグ
にやりと笑ってこちらを見やる。
クーロン「案外子供っぽいな。見たとおりか。」
「うるせー!」モグモグゴチソウサマデシタ
ロイズ「周辺には何もいませんね、奥の蜘蛛の巣くらいでしょう。」
・
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二人の言ったとおり、道を進むと明らかに蜘蛛の巣らしきものが見え始める。
「しかもかなりの規模じゃん……。」
クーロン「文句言ってられねぇさ、武器を持て、行くぜ。」
各々武器を抜き蜘蛛の巣を払ってすすむ。
気を使ってくれてるのか、こちらが走り出す前にクーロンは業火と雷撃の魔法で蜘蛛を蹴散らし、
生き残った蜘蛛は的確にロイズさんが始末していく。
「うげえええ、き、きもちわるい!ク、クーロン!焼き払って!」
クーロン「魔力も無限じゃねぇんだ。我慢しろ、さっさと越えりゃ大丈夫だろ。」
「ううううううぅぅぅっ」眼をつぶって歩く。ロイズさんが苦笑しながら手を引いてくれる。
クーロン「抜けたぜ、っとこりゃまたすごいな。」
蜘蛛の巣を抜けるとまた巨大な空間に出る。
「す、すげーーー!」
そこは水源に繋がっているのか、地下水が下を流れ、腐りかけではあるが橋がかかっていた。
その橋の先にはノルド様式の遺跡が見える。
ロイズ「あれが目的の遺跡ですか。」
クーロン「気をつけて進めよ、板が腐ってるからな。」
慎重に進み、なんとか遺跡の石畳の床まで到着する。
ロイズ「今日はここまでにしておきましょう。外ではもう陽も落ちてくる頃です。」
クーロン「そうだな、今日はここで野営しよう。奥へ行く扉は……簡単には開きそうにはねぇし奇襲は受ける心配なさそうだ。」
「んじゃテント…はねぇし寝袋だな。」
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ござを敷き寝袋を用意する。
簡単な食事を済ませると、一番緊張し疲れたであろうロイズさんに先に休んでもらう。
・
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焚き火の揺らめく火を眺めながら、食後の時間を過ごす。
(ボハン大丈夫かなぁ……。)
クーロン「なんだ?想い人のことでも考えてたか?」
「ば!ばっか!そんなんじゃねぇし!お、親父みたいなもんだよ……。」慌てて否定する。
クーロン「くっくっくっく、どちらにせよ信頼してんだな。どんなやつなんだ?」
「そ、そうだなぁ、最初の冒険の時は……。」
最初の仕事の事。仕事終わりの事。そこから続く訓練の日々。
仕事以外の思い出や喧嘩した話、叱られた話。怒った話。
それにストームブリンガーを手にした後の話。
クーロン「色々回ったんだな。結構な経験積ませてもらった恩人じゃねぇか。」
「オ、オレの話はいいだろ!クーロンはどうなんだよ。」
サングラスで隠されたクーロンの顔色は相変わらず読めない。
クーロン「俺か?俺は依頼でな。いい雇い主ではあるんだが、まったく人遣いが荒いってもんで、こんなところまで来る事になっちまったぜ。」
「すっかり長旅になっちまったなぁ。でも、ここで心臓の部屋の本を手に入れれば……。」
しっかりと頷くクーロン。
クーロン「ああ、後手に回り続けた俺たちもここで逆転だ。」
クーロン「さ、明日も大変だし、先に休んでな。俺が見張りはしてるからよ。」
「オレは今日は疲れてねぇから先に……。」
にやりと笑うクーロン。
クーロン「なんだ?まだ想い人の事考えたりねぇってか?」
「ち、ちげぇって!わーったよ、んじゃ疲れたらすぐ起こしてくれよ。わりぃな。」
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